公益社団法人日本経営工学会
Last Update: 2019/9/19

新公益法人移行への対応について

第30期日本経営工学会 会長 能勢豊一

過日(2011年1月23日(日))の臨時総会は、定款に定めた代議員、理事必要出席定数を共に満たしておりましたが、手続き上のミス(開催案内の事前通行日数の不足)が原因で流会となってしまいました。これはひとえに学会運営を預かる私ども役員と事務局のミスであり、会員の皆様にお詫び申し上げます。しかしながら、新公益法人を目指してすでに申請を行っており、認定されるように最大限の努力をしなければいけない段階となっております。認定の条件として代議員総会での承認が必要な定款の改訂をしなければなりませんので、会員の皆さんにはご協力をよろしくお願いいたします。

さて、1950年に正会員180名,年会費300円で発足し、現在に至っております日本経営工学会(JIMA)は2008年12月1日に施行された公益法人改革三法*(一般法人法,認定法,整備法)により、法施行後5年間(2013年11月30日まで)の限定存続を許された特例民法法人となっております。この特例民法法人の新公益法人への移行の流れを図1に示します。

* 平成20年12月1日に次の3法(以下、総称して「新法」という。)が施行されました。

①一般社団法人及び一般財団法人に関する法律 (以下、「一般法人法」という。)

②公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律 (以下、「認定法」という。)

③(上記①・②)の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律 (以下、「整備法」という。)

図1:新公益法人への移行の流れ

図1:新公益法人への移行の流れ

特例民法法人JIMAは当然、存続を前提にすると、2013年11月30日までに公益社団法人認定手続きか一般社団法人認可のどちらかの方向を意思決定する必要があり、公益法人化特別委員会を設立し、理事会を通して検討を重ねてまいりました。そこでの公益社団法人認定のポイントは、公益認定基準の適合と公益目的事業費率50%以上の継続実施による公益性の維持であり、一般社団法人認可のポイントは、公益支出計画の作成であります。

1.公益社団法人と一般社団法人の比較

特例民法法人JIMAの進路となる一般社団法人と公益社団法人の比較表を表1に示します。

その比較によりますと、一般社団法人への申請は認可であり、18の要件クリアと公益認定の欠格事由クリア(JIMAには問題ない)やその後の公益目的事業比率50%以上の継続遵守といった公益社団法人移行の公益認定基準と比べて通りやすい条件となっています。

税制については、JIMAが所得800万円以下で寄付金も過去6年間ないことから、現在のところ税優遇面はどちらを選択しても同じです。

一般社団法人への移行認可の場合では、公益支出計画の作成ができるかが問題となります。しかし、認定資料作成経験のある行政書士からの情報では、新しい法人の定款はどちらの法人でも一般法人法に適合しているかが問題であり、モデル定款の記述に沿うことが大事で、申請から処分決定までの期間は、公益社団法人、一般社団法人とも平均5~6か月を要していることから、一般社団法人認可だから短期間で承認されるわけではないことが判明しています。

また、一般認可も公益認定も申請手続きに差はなく、困難度にも差はありません。さらに、JIMAは公益事業比率:70.9%を認定されると思われ、この継続も全く問題ないと考えております。

税制上の優遇に差はありませんが、公益社団と一般社団では法人の扱いと信用度に差が生じてくること、一般の会場利用や公的機関への手続きに差が生じることが予想されます。

表1:公益社団法人と一般社団法人の比較

表1:公益社団法人と一般社団法人の比較

2.法人形態の選択

JIMAは、平成20年12月1日以降5 年の間に「公益社団法人」を目指すのか「一般社団法人」を目指すのかの選択を行ない、行政庁の認定・認可を得た上で新法人として再スタートすることが求められています。(残り期間2年間弱)

この移行法人の選択に際しましては、理念的側面、利害得失面、そして何よりも移行が可能か否かの現実的可能性の側面からの検討が必要でありました。

ここでは公益法人の利点である「税制」の影響、公益社団法人への移行可能性の問題、さらには一般社団法人選択時の課題・問題点について検討した経緯を解説いたします。

  1. (1)今般の公益法人制度改革により、全ての法人(公益法人も一般法人も)はまず「一般法人」としての要件を全て満たすことが必要とされています。この要件に関しては新法において詳細が定められており、それは前述のとおりですが、その上さらに法律が定める必要な要件を満たした法人のみが「公益法人」として認定されることになります。今回の制度が「二階建て」と言われる所以です。
  2. (2)一般的に「公益法人」となることのメリットは次の二点と言われています。
    1. 信用供与面 (今後、「公益法人」の名称は認定公益法人のみが使用できる。)
    2. 税制優遇面 (法人税優遇、寄附税制の恩恵を受けることが出来る。)

    その他、公的機関からの補助金の対象事業となりやすいか否か等の実際上の問題もあります。

  3. (3)主な税制優遇の内容は表1に示しましたが、概略は以下のとおりです。
    1. 実施事業に関し、収益事業のみ課税となり非収益事業は非課税となります。(従来の公益法人課税と原則同じ。ただし、法人税法上収益事業とされている事業であっても公益目的事業と見做された場合は非課税となります。)(法人税法施行令第5条第2項)
    2. 公益法人は自動的に「特定公益増進法人」となり、当該法人に寄附をした法人の寄付金は損金扱いとなり、個人の場合は所得控除が可能となります。
      (所得税法第78条第1項及び第2項3号 所得税法施行令第217条第3号)
      (法人税法37条第4項 法人税令第77条第3号 他)
    3. 「一般法人」であっても、その内容により法人税法上は「非営利型法人」と「それ以外の法人」の別があり、「非営利型法人」においては税制上の優遇措置が設けられています。但し、実際上は税務上の有利不利は一概には断定できず、各法人の経営実態によります。 (法人税法第4条第1項ただし書き、第7条)
  4. (4)上記のメリットをJIMAの現状に照らしてみましたとき、本学会が公益法人となる実利よりもむしろFMESのような経営工学関連学会の中核と位置付けられている本学会が本来公益法人として活動することが重要で、自然な成り行きとして信用度の高い公益法人を選ぶことが望ましいと言えます。
    現在のJIMAは寄附金収入ゼロであり、事業推進上も寄付金に依存する体質ではありません。しかし、公益法人化により学会会員だけでなく関連する学会、団体との協調活動が大会運営、支部運営にプラス効果をもたらし、ひいては学会活動を広く認知された結果、寄附優遇税制の導入など本学会にメリットをもたらすことが考えられます。
  5. (5)「公益法人」の認定を得るための要件として、新法において18の具体的条件が示されていますが、その中でJIMAにとって極めて影響が大きいと思われる条件は以下の二点です。
    1. 公益法人は公益目的事業を行なうことを主たる目的とする法人であること
    2. 公益法人は総事業費の50%以上の公益目的事業を毎年行なうこと
  6. (6)JIMAは創立60周年を迎えた伝統ある学会であり、一般に学会活動は十分公益活動と認められ、現状70%以上を認定されると予想され、50%以上の継続も問題ないと考えます。
    公益法人には事業年度毎に行政庁に対する事業報告義務が生じることとなりますが、JIMAは現在も文部科学省監督の下、事業報告を行っていますので十分耐えられます。ただし、公益法人として認定を継続できない場合、その法人の「公益目的財産」は没収されることとなり、公益法人にとっての将来的なリスクはあります。 (認定法第30条)
  7. (7)公益法人でなく一般法人を選択する場合の最も重要な課題は、確実に実施可能な「公益目的支出計画」を作成しなければならないことです。平成22年度末現在における本学会の純資産(土地・有価証券は時価評価)は31百万円であり、本学会は新法人移行後、公益目的事業を実施することにより当該純資産相当額を支出する義務を負うこととなります。(整備法第119条第1項及び第2項)
    1. 公益認定法が定める公益目的事業
    2. 一般法人を選択した既存法人が、必要な法定事業の実施を前提とする「公益目的支出計画」を作成できない、または実施できない場合は「認可不可」→解散→財産没収もありえます。
  8. (8)JIMAが相当な額の“新規の支出”を作り出し、取り崩すことは可能ですが、一般社団法人になって過去の遺産を全て取り崩すことによる不安定化は否めません。また、一般社団法人となって強大な権力を持つ理事の出現により学会資産を使い切るのに歯止めがきかなくなる恐れもあります。今期の第30期理事会は、当初2013年までに一般社団法人化のために学会純資産を消化する計画を立てましたが、この公益社団法人化への転換によって2010年度目標とした赤字決算を急遽、黒字化すべく方向転換に努めております。
  9. (9)多くのJIMAよりも規模の大きな学会が公益社団法人でなく、一般社団法人を目指しているという情報がございますが、昨年の6月以前とその後の動きが異なっていることと、 さらにはJIMAには公益法人化の際の会計処理を複雑にさせる遊休資産に相当するものが皆無であることが、本学会がよりスムーズに公益法人へ後押しする力となっています。
  10. (10)今回の制度改革により、既存の公益法人は平成25年11月末日までに「公益法人」か「一般法人」かの選択を迫られることとなりますが、「一般法人」を選択した法人がその後において「公益法人」の認定申請を行なうことは可能です。またその場合は5年以内等の期限は設けられておらず、いつでも可能です。しかし、理事会が2年ごとに改選される中で、第30期発足当初掲げた小生が掲げた公益法人化を先送りするのではなく、必要なことは今期中に果たしておきたいという気持ちは第30期理事会メンバーが昨年10月理事会で共有した意思です。

3.法人の選択結論

昨年5月の定時総会ではJIMAは一旦、「一般社団法人」の「認可」取得後、公益社団法人移行をめざして、「公益社団法人」への「認定」申請を行う2段階を検討しましたが、その後、充分に公益法人として認められる目処が立ちましたので、公益社団法人の認定申請を実行し、23年5月までの認定を目指すことといたしました。(22年定時総会で2段階新法人化移行方針の承認、22年臨時総会で公益社団法人申請への承認)