公益社団法人日本経営工学会
Last Update: 2017/11/24

会長挨拶

会長 石井和克

平成29年6月23日

ABCメンバーの相互啓発による
共創の場づくりを目指して

第34期会長 金沢工業大学 石井和克

 

 平成29年5月の総会とその後の臨時理事会を経て,第34期会長に就任し,その職を務めています。
 河野宏和前会長を引き継ぎ,当学会の継続,発展に尽力してまいります。会員の皆様にはご支援,ご協力をお願いいたします。
 そこで,この場をお借りして,私が目指す学会づくり像を紹介させて頂き,皆様からの批判および提言と積極的な参画をお願いします。
 2年間という会長任期期間での目標達成のための短期戦略と,2年を超えて本学会の目指して欲しい姿を述べさせて頂きます。表題に掲げたABCメンバーとは,Academic-Business-Consultants:ABCネットワークを指します[1]。本学会の構成メンバーをその職能視点から,新たな経営工学の学理や技術を研究開発すると共にその普及・啓蒙を図る研究・教育職(Academic People),経営工学を実務に応用し,ビジネス価値を創造する実務職(Business People),そして経営工学をあらゆる社会的活動に応用し,問題解決に至る診断と処方術を提供する診断職(Consultants)の3者のプレーヤーと認識します。その上で,この3者が本学会を介してそれぞれのProfession(異なる専門性)を磨きつつ,経営工学の社会的価値の継続的向上という同一目的を共有しつつ,相互に競い合う共創の場づくりを本学会の目指したい姿としてはどうかとういう提案です。この目指したい姿(ありたい姿)を前提に,以下,短期戦略の一端を述べます。
 まず,本学会の現状を会員構成,会員数,大会活動,出版活動,支部活動および財務状況の視点で明らかにした上で,2年後への道筋を描きます。
 2015年7月名簿データによると,正会員1148名中59%が教職員,38%が企業勤務者,3%が不明となっています。また,2010年以降の7年間の年間平均会員数(1月から12月までの正会員数+学生会員数+賛助会員数+名誉会員数の平均)における年平均減少人数は74名となっています。年2回開催される大会参加者数をみると,2011年以降の6年間の平均参加者は大会当たり240名余り(平均発表件数は120件余り),論文誌掲載論文数は巻当たり平均43編(第53巻~66巻)です。支部活動では第33期に東関東,西関東および北関東が1つの支部となり,2016年3月末正学会会員数の56%を占める支部となりました。これらの活動結果としての財務状況を見ると,会員数減少が主要因となり,2014年度と2016年度に支出超過となっています。しかし,この危機は第33期役員の努力としての支出削減と,新たな試みが本学会におけるこれからの方向性の変化点になっていると思います。それは,前河野会長が標榜する産学連携のパイロット・プラントとしての日本IE協会との連携による大会企画・運営および産学連携研究交流会です。この変化点は,生産性向上(原価低減)から売上向上(事業収入向上戦略)になると思います。この流れを定着させ,成果の継続的向上を図る基盤作りが私の使命の1つと思います。この事業は第33期の2年間で事業収支をプラスとしています。この成果を安定化するために,第33期までの国際化と産学連携の戦略を第34期も継承したいと思います。そして,この新たな学会の動きをさらに加速化,定着化を図るための短期的戦略構築の必要性を感じます。現状の学会事業構成は,大会事業,出版事業,研究部門事業,支部事業そして新たに加わった産学連携研究交流会事業です。これら事業ごとの成果評価をしつつ,学会全体の財務管理をどのように進めるかは,まさに経営工学を学会運営にどのように適用し,実績を残せるかという研究課題ではないでしょうか。各事業の損益分岐点を考慮しながら,事業規模を決定し,その運営をPDCAサイクルに乗せ,継続的改善を図るという課題解決に第34期理事会は取り組む必要があります。
 学会活動の基盤となる支部活動では,事業収入を得ている支部があることをベンチマークし,また,産学連携研究交流会事業を参考にしながら,そのノウハウを学び,支部事業に反映させ,特徴ある支部相互間の啓発を促してはどうでしょう。地方創生の追い風が利用できるのではないでしょうか。
 第31期から開始された研究部門事業では,従来の基盤的研究領域に日本IE協会との連携による大会および産学連携研究交流会の成果を加味して理論化,技術化を図り,論文誌出版事業やワークショップ,セミナー活動を通じて社会に情報発信してはどうでしょう。
 日本IE協会との連携に加え,日本技術士会との連携をさらに進め,人材育成事業への発展を試みてはどうでしょう。この試みは,本学会の特徴である教職員メンバーの多さという経営資源の優位性を大いに発揮出来る可能性を秘めています。
 年2回の大会事業では,従来の研究発表に加え,上記の各種事業に関する提案や要望に関する発表の場や海外連携団体との交流など多様な情報交換の場づくりを進め,国際的ABCネットワークの共創の機会と場として企画・運営してはどうでしょう。
 以上の結果として,会員数,大会参加者数および論文掲載件数の増大を図って行きたいと考えています。これを実現するために,まず,平成29年度秋季大会(11月2日,3日(金・祝)開催)の機会を大いに活用したいと思います。この大会は日本IE協会との2回目の協同開催になるとともに,アジアIEワークショップ,さらに,FMESシンポジウムが開催される予定です。これまでにない,難しい大会運営になると思いますが,第34期理事会の最初の試金石になると考えます。
 以上をはじめとした短期戦略を第34期理事会の組織力をフル活用し,会員の皆様の熱い思いと積極的参画を得て,目標達成のPDCAサイクルの着実な実施に取組みたいと存じます。

参考文献
[1] 石井和克,私が描くJIMAの夢,経営システム誌,第26巻,第2号掲載予定(2107)