公益社団法人日本経営工学会
Last Update: 2017/5/25

会長挨拶

会長 河野宏和

2015年12月25日

産学連携を基点としたJIMAの活性化を目指して

第33期会長 慶應義塾大学 河野宏和

 

 2015年5月から、日本経営工学会第33期会長を務めています。これまで、2期続けて会長を務める例はあまり多くなかったかもしれません。JIMAの改革に向けてもう一歩尽力したいと考えて努めますので、引き続き皆様からのご協力とご支援を宜しくお願い致します。
 前の第32期では、JIMAの「活性化」と「国際化」をスローガンとして、いくつかの新しい活動を進めてきました。こうした活動は、学会に新たな側面をもたらし、参加メンバーによる意識改革、国際的活動の推進などに貢献したと考えています。今期は、こうした活動を継続・強化すると同時に、具体的に会員増強という成果を実現するため、「産学連携」をキーワードとした活動を進めていく計画です。
 経営工学が経営実務に役立つ工学的アプローチの体系であるならば、経営工学会は産業界の動向や課題に注目して実践的な研究を進め、産業界がその成果を活用・応用し、新たな課題を学会にフィードバックする、という連携が成り立つはずです。また、研究内容とその成果をベースとして学会を活性化していくことが可能になります。もちろん、学会では直ちに実務に結びつきにくい基礎的な研究も重視していますが、多くの学会員が実践・応用を意識して研究を進め、一方の産業界はそこでの学術的成果を経営に活用する、そうした研究ベースの産学連携を深めていくことが、本学会に期待されている役割の一つであるはずです。
 そのきっかけとして、大学と産業界のメンバーがテーマごとに集まり議論すべく、第1回産学連携交流会を企画しました(URL: http://www.jimanet.jp/activities/networking_event)。「経営力強化に向けて」「人財育成」「IT/ICTの活用」「生産準備・設備内製化・ 現場力向上」をテーマとして、それぞれ3回の例会をもち、最新の研究成果の解説、産業界の事例の分析、企業訪問を行い、産学のメンバーによる討議を通じて、経営工学の視点や知見が企業経営にどのように貢献出来るかを考えるものです。
 言うまでもなく、企業を取り巻く環境はグローバル化、IT化、技術の高度化などに伴って急速に変化しています。一方、経営工学会は、経営の問題を解決する工学的アプローチとして、経営の4M(あるいは5M)と言われる要素(人、物、お金、方法、情報)を中心に、様々な研究成果を蓄積してきました。しかし、論文誌や大会での発表内容を見ていると、産業界に役立つ知見の発信は、まだまだ充分ではないと感じます。一方で、産業界にも、従来の延長線上で慣習的に経営判断しているケースが散見されます。
 産学連携交流会のテーマはモノ作りを中心とし、視点としてはIEに近いものです。企業の多様性や産業構造の変化を考えれば、より広い内容をカバーすることが必要かもしれませんが、これまでも類似の企画がなかなか継続・定着せず、産業界からの参加者が圧倒的に少ない現状を変革していくためには、少しテーマを絞り、産学のメンバーが本音で議論し合うような場を作ることが不可欠だと考えました。既に、分科会1は25名のメンバーの参加を得てスタートしており、以降の分科会へも多くの方々のご参加をお待ちしています。
 学会全体の会員数の減少傾向はようやく緩やかになり、学生会員数は増加傾向に転じましたが、同時に支出も増え、従来ベースの活動を維持する予算を編成することは難しくなっています。表面的に「活性化」と主張するだけでなく、会員増に結びつく活動が待ったなしに必要です。ボランティア的に仕事を分担してくれている役員や委員の負荷という問題もあり、学会を変革していくことは全く容易ではありませんが、議論を重ねていくだけでは、今後の存続自体が危うくなります。産学連携は、収益増や会員増に結びつける端緒でもあります。活動を見直し支出を削減するだけでなく、収入増につながる活動として、上記の産学連携研究交流会に留まらず、例えば仕事帰りに気軽に経営工学に触れて学べる産学交流セミナー、最新の研究内容や事例を用いた共同研究のような重厚な産学連携など、今後は様々なレイヤーで連携を進めていくことが必要と考えます。支部の特徴を活かした産学連携、専門の近い方々が集う研究部門をベースとした産学連携など、会員の方々全員のサポートをお願いしなければなりません。
 学会の方向を大きく変えたり、あるいは改革すると言うよりも、経営工学が本来果たすべき役割を改めて考え直す、そのことが今期の活動の基本です。これまでの伝統を否定する意図は全くありませんが、大学の教員が中心となっていた従前の学会運営では、自分自身も含めて、新しいアイデアの創出には限界があるように思えてなりません。今期は、産業界から4名の理事に加わってもらっています。産業界のニーズを出発点とした産学連携を進め、研究成果に結びつく活性化を加速していく。そのために、経営工学の役割と課題を再考し、経営工学の役割を積極的に産業界に発信・アピールしていかねばなりません。学会が直面している状況へのご理解をお願いすると同時に、皆様のご協力と積極的なご参加を強く期待しております。