平成16年7月16日 

(社)日本経営工学会の会員の皆様へ

   財団法人日本学会事務センターの学会預り金流用問題について

会長 黒田 充


 7月3日に標記の問題が新聞報道されたことを受け、7月11日(日)の関西地区説明会に庶務担当理事が出席し、7月16日(金)には理事会開催前の約1時間、(財)日本学会事務センターの寺尾繁美専務理事および山口哲男常務理事より謝罪と説明を受けました。
 その結果は以下の通りです。
 平成16年3月31日現在、(財)日本学会事務センターの貸借対照表の負債の部の「学会預り金16.4億円」に対応する資産の部は「現金預金7.2億円」、「立替郵税0.45億円」、「未収収益1.3億円」の合計9.0億円であり、7.4億円の流動資産が不足しています。このため、通常業務以上に、学会預り金の送金を一斉に求められるとすぐには送金できない状況にあります。
 (社)日本経営工学会の(財)日本学会事務センターへの預け金は平成16年5月31日現在、17,458,975円です。3月31日現在では4,993,368円でしたが、5月31日までの会費納入分等がそのまま預け金になったために3月末よりも増えています。なお、(社)日本経営工学会の平成15年度決算額は総会資料に記載のとおり29,438,744円です。これ以外に当学会の流動資産として定期預金28,000,000円および普通預金50,658円がありますが、これらは預け金とは別に保管されており、流用は不可能です。
 (財)日本学会事務センターでは、平成3年度から流動資産が学会預り金を下回り、学会預り金が流用されていく財務状況に陥りました。にもかかわらず、常任顧問1名と常任理事3名が長期にわたり収支計算書や正味財産増減計算書を(財)日本学会事務センターの理事会に示さず、単年度の損益計算書だけを示すことでこれらの赤字繰越金を隠し続けました。これについては公認会計士から不適正だとの意見書が出されていましたが、当該理事会にはその意見書が提出されていませんでした。
 ところが、昨年3月に常務理事の暴行傷害事件など2件の不祥事が起こり、これを契機に管理運営体制や運営方法の抜本的な見直しを行った結果、巨額の累積赤字などが明らかになったとのことです。
 学会ユーティリティセンターについては、(財)日本学会事務センターからの事業支援貸付金約3億円を回収できず、流動資産で-1.1億円、固定資産で-1.4億円、計-2.5億円の貸倒引当金を平成16年3月31日現在の貸借対照表に計上したとのことです。このような事実について、今年4月の当学会監事による特別監査時に(財)日本学会事務センターから全く説明がなかったことは実に遺憾であり、(財)日本学会事務センターに強く抗議し、謝罪を受けました。
 (財)日本学会事務センターの再建計画については、当初の案が撤回され、8月上旬までに新たな再建計画を理事会で策定するとのことです。
 これらの説明を受けた直後に開かれた当学会理事会にて、学会としての対応を協議した結果、次の6点を(財)日本学会事務センターに求めることを決め、寺尾繁美専務理事および山口哲男常務理事に直接申し入れました。下記の(4)についてはセンター内で検討して頂き、それ以外は実施して頂くことになりました。
(1)(財)日本学会事務センターの決算について財務状況が改善されるまで毎年5月の 当学会理事会にて(財)日本学会事務センターから直接報告を受けること。
(2)(財)日本学会事務センターおよび(株)学会ユーティリティセンターに対し、当学会監事による特別監査を財務状況が改善されるまで毎年行うこと。今年度は(株)学会ユーティリティセンターへの会計監査結果が出た後の11月頃(後日日程調整)、来年度以降は(財)日本学会事務センターへの会計監査結果が出た後の7月頃(後日日程調整)に行うこと。
(3)9月10日の当学会理事会にて(財)日本学会事務センターの再建計画について(財)日本学会事務センターから直接説明を受けること。
(4)(財)日本学会事務センターに内部監査制度を設けること。
(5)経営効率化が職員のモチベーション低下に繋がらないように十分配慮し、契約業務に関する質の向上を図ること。
(6)(財)日本学会事務センターと本学会以外の諸学会との契約および解約、学会預り金等の状況について毎月末に当学会庶務担当理事へ報告すること。

 当学会第27期理事会では、これらの6項目が誠実に実行されることを条件として、(財)日本学会事務センターとの業務委託契約を当面継続すること、学会預け金が不正に流用されている現状が早期に改善されない場合には方針を変更する場合があることを確認致しました。その上で、(財)日本学会事務センターとの業務委託契約内容を見直し、1年単位で契約を締結し、契約更新時に財務状況等を毎回確認するとの条件を付けました。
 今後も上記の報告、説明、特別監査については随時ホームページ等でお知らせ致します。

以上