行事委員会
サプライチェーンマネージメント(SCM)は,すでに多くの企業で導入され成果を上げており,加速する顧客の価値多様化とグローバル環境の変化は,SCMの効用と限界を明らかにしつつあります.今回のショートコースでは,SCMを含め経営情報システムの最新動向,今後の方向性までを解説します.
そして顧客指向の観点からSCMの延長線上にあるといわれるCRM (Customer Relationship Management) についても,全般的なトレンドと技術の双方から取り上げます.
講師はいずれも大学,産業界の第一線でご活躍されている方々を予定しています.実務家をはじめとする大会参加者への皆様が,継続的な学習の場,啓発の場としてご参加頂ければ幸いです.
● | 主催者側趣旨説明 | 10:00―10:05 |
(1) | サプライチェーンマネージメント:午前 | |
1) | 辻 洋(大阪府立大学) 経営情報システムの動向 ―合理的効果・時間的効果から社会的効果へ |
10:05―11:05 |
2) | 下村 博史(日本総合研究所) SCMとCFPR (Collaboration, Forecasting, Production, Replenishment) への展開 |
11:10―12:10 |
(2) | CRM (Customer Relationship Management) :午後 | |
1) | 太田秀一 (経営コンサルタント) CRM の構造とベスト・プラクティス |
14: 4 5―15:45 |
2) | 石垣智徳(大阪府立大学) CRMのためのデータマイニング |
15:5 0―16:50 |
(注)時間帯は大会委員会と調整予定
以上
行事委員会
10:00―10:05
10:05―11:05
< 経営情報システムの動向 ―合理的効果・時間的効果から社会的効果へ>
組織の情報は、ひと・もの・かねと並んで大切な資源と位置づけられている。当初の経営情報システムはこの資源を合理的効果(歩留まり向上、経費節約)や時間的効果(納期短縮、街時間短縮)に活用してきたが、最近ではこれら効果と共に社会的効果(ライフスタイル・ワークスタイルの革新、ノウハウ継承)へと拡大している。この動向を企業情報化の発展過程を振り返りながら鳥瞰し、情報システム部門がプログラミング担当でなく企画戦略担当に位置づけられていること、企業間連携が必要な電子商取引が発展していることなどの動向を、それを支える技術と共に取り上げる。
1 1:10―12:10
<SCMとCFPR (Collaboration, Forecasting, Production, Replenishment)への展開>
CPFRは米国VICSが提唱する「流通業と製造業による協業型ビジネスモデル」である。そこから我々は、消費者起点のサプライチェーンを構築する際に考慮すべき数多くの示唆を得ることが出来る。CPFRの本質は、サプライチェーンの構成主体が顧客への理解を深め共有することにより、企業間の知識連結を実現し、自律的なサプライチェーンを形成することにある。本講演では、CPFRを概説した後、小売業と製造業とのコラボレーション事例を参照しながら、顧客への認識をいかにして共有すべきかについて紹介する。さらに、SCMを補完する概念として「知識連鎖」の必要性について提案する。
14: 4 5―15:45
<CRM の構造とベスト・プラクティス>
SCM と CRM は、ともに企業間連携の強化を目指すが、カバーする業務プロセスは異なる。その意味で CRM は、SCM 実施済の企業には次の課題となり、業態柄、SCM が効かない企業には最優先課題となり得る。
本講では、組立量産型の製造業をモデルにして、企業には、どんな業務プロセス群があり、そのどのプロセスを CRM はカバーし、そこには各々、どんな CRM メジャメントとCRMベスト・プラクティスが既にあるのかを紹介するとともに、今後目標とすべき、新たなベスト・プラクティスについても、一部、仮説を提示する。
15:5 0―16:50
<CRMのためのデータマイニング>
CRMの中心ともいえるOne to Oneマーケティングは、ITの進歩とともに広く企業の戦略として議論されるようになってきた。その理由に情報収集機器の低価格化が挙げられる。しかしながら、顧客に対する適切なアプローチを行うためには、情報の収集だけでは不十分であり、膨大な量の顧客情報の管理と分析が必要である。本セッションでは、特に収集された大量のデータをいかに顧客情報とリンクさせ、活用するかについて考える。具体的には、購買履歴による顧客クラスタリング、顧客情報によるエリアマーケティング戦略等を事例中心に解説する。
以上