春季研究大会ショートコースのご案内
5月19日(日)慶応大学理工学部

主催:
(社)日本経営工学会
日時:
平成14年5月19日(土)10時~16時10分
会場:
慶応義塾大学理工学部(矢上キャンパス)東急東横線「日吉駅」下車徒歩約15分
横浜市 港北区 日吉 3-14-1
参加費:
正・賛助会員は当日受付8000円、事前申込7,000円、非会員は1万円
大会参加者はショートコースを無料で聴講できます。

(1) ショートコースの主旨

経営の複雑さや経営環境の変化が加速している産業界の中で、企業が生き残り繁栄してゆくためには、時代の流れを的確に把握し、学習することが必要です。その場を大会で提供するのがショートコースです。

「日本の競争力で学ぶべき優れた点は、生産管理システムと商品企画力の2つの分野である。これに注目すれば21世紀の日本は必ず復活する」とジャックウエルチGE社元CEOは昨年9月の招待講演(日経新聞社主催)で述べております。この2つの分野において、日本は欧米で開発されたものを吸収し、独自性を加味して再創造しています。そして、その成果は世界にインパクトを与えています。

今回のショートコーステーマは「21世紀日本の競争力―生産管理システムと企画力―」です。ホットな最新知識を専門家により講義して頂き、大会参加者の知識の幅を広げる場を提供致したいと存じます。産業界の皆様のご参加をお勧めします。

(2)ショートコースのプログラム(21世紀日本の競争力-生産管理システムと企画力-)

「趣旨説明」
行事委員長:石川 弘道(高崎経済大学)
10:00-10:05
1) 「概説APS ―革新的生産管理システムの確立に向かって-」
講 師:黒田 充(青山学院大学)
10:05-10:45
2) 「スケジュールデータ標準化によるAPSの実現」
講 師:西岡 靖之(法政大学)
10:50-11:30
3) 「モノ造りのプロジェクトマネジメント-Made In Japanの先達に学ぶ-」
講 師:唐沢 英安(Data CakeBaker(株))
11:35-12:15
<特別事例発表2件 13:00-14:35 中断>
4) 「企業価値経営 ―経営指標としてのSVA―」
講 師:西村 泰一(HOYA(株))
14:45-15:25
5) 「日本の競争力―ラップアップ」
講 師:豊島 文雄(製造業マネジメント教育研究部会)
15:30-16:10

1)、2)は生産管理システム、3)、4)、5)は企画力の領域です。

(3)ショートコースプログラム概要

1) 「概説APS ―革新的生産管理システムの確立に向かって―」

講 師:
黒田 充(青山学院大学)
要旨:
APSはMRP の問題点を解決することを目的にしてアメリカで生まれたパッケージソフトである。
一方、日本におけるAPSは単にMRPに代わり得るパッケージとしてではなく、従来の製番方式のシステム化としてMRPが備えていなかった機能を取り入れ、大きく展開しようとしている。 日本のAPSには、見込生産・受注生産の区別や個別生産・連続生産の区別を超える汎用的で柔軟な新時代にふさわしい生産管理方式の息吹がある。

2) 「スケジュールデータ標準化によるAPSの実現」

講 師:
西岡靖之(法政大学)
要旨:
APSは、これからの製造業ITの中心的な役割を担うことになると予想されるが、その前提には、生産管理に関する各アプリ-ケーションが柔軟にデータおよび機能を連携させることが可能とならなければならない。講演では、PSLXコンソーシアムが進めている生産スケジューリングの標準規約を説明し、それがもたらす効果を議論する。

3) 「モノ造りのプロジェクトマネジメント-Made In Japanの先達に学ぶ」

講 師:
唐澤 英安(Data Cake Baker(株))
要旨:
ドラステックなビジネス環境の変化は、ICTを中心とした技術の発展に始まり、メデイアシステムを変え、社会価値観から社会制度に至っている。安定した環境を前提とした組織運営は、根底から崩れ、変化に対応するオペレーション管理の方法論が求められている。
価値観は、ものの所有から経験の所有へと変わっている。サービス化に対応するためには、モノ造りの原点に立ち返る必要がる。キーワードは、「フレキシビリテイ」と「モノの心」と、「開発型プロジェクト」である。
ここでは、ソニーのトリニトロンプロジェクトで開発されたF-PAC Systemを中心に、戦後の日本のモノ作りに貢献した幾つかのプロジェクトのケースも加えて整理、紹介する。

4) 「企業価値経営-経営指標としてのSVA-」

講 師:
西村 泰一 (HOYA(株))
要旨:
1990年代後半からの企業経営の目標は、企業価値の最大化にあるといわれています。企業は、戦後、様々な企画力で企業成長を持続させてきました。特に、企業パフォーマンスの測定・評価という観点からは、多くの経営指標(メジャメント)が使われてきておりますが、独自で考えられたもの、アイデアをそのまま踏襲したもの、企業でそれなりの工夫(ソフトの企画力)を加えてきたものなどがあります。
その中で、今回はアメリカで生まれたEVAの概念を参考にして、独自のSVA指標を企業活動に生かして活性化した事例を取り上げ、紹介致します。
あわせて、他社の事例、及び今後の展開・課題についても言及致します。

5) 「日本の競争力&ラップアップ」

講 師:
豊島 文雄(製造業マネジメント教育研究部会)
要旨:
スペイン,イギリス,アメリカ,日本,中国へと文明の興亡は西進しています。かつての英国病や80年代の米国製造業衰退の波が日本をおおっています。一方では産業の50年周期があり、エレクトロニクス単品製品の時代が終焉を迎えています。
企画力において、日本は欧米で開発されたものを吸収し、独自性を加味して再創造しています。
この原点は太平洋戦争開始時のみに世界最強を誇ったゼロ戦の企画力にルーツがあります。
またRCA社の液晶技術は、シャープが電卓の表示装置に使うことを創造して現在の液晶全盛期につながりました。デジカメの心臓部CCDは光を電気に変える発明がベル研でねむっていました。
ビデオカメラに使った日本の成果は世界にインパクトを与えました。こうした日本の強み企画力を、皆さんとディスカッションしたいと存じます。